原子価殻の拡大、励起について

学習記録

先日アルコールについて調べていて、
・アルコールのOをSに置き換えたチオールという化合物
・エーテルのOをSに置き換えたスルフィドという化合物
があるということを知りました。

「OがSになることでどんな違いが生まれるか」を予測しながら「ボルハルトショアー現代有機化学」の該当箇所を読んでみたところ、
「硫黄はd軌道をもつ第三列元素なので、その原子価殻はオクテット則で許容される以上の電子を収容するように拡張することができる、このため酸素類縁体では起こりえないような反応が可能になる」
といった記載がありました。

そこで「硫黄がd軌道をもつ」ということを周期表で確認しようとしたところ・・・

あれ?d軌道に入っていませんよね。
それなのにd軌道を使えるとはどういうことでしょう?


疑問に思って調べたところ、硫黄が3d軌道を使えるのは「励起」によるものだということがわかりました。

励起とは外部からのエネルギーを受けて電子がもとの軌道よりエネルギー順位の高い軌道に入ることをいいます。
原子から電子がとばされて陽イオンになるときの説明と同じような図ですが、電子が完全に外に飛び出してしまうのではなく、その原子の軌道の中でエネルギー順位の高い軌道に入るということですね。

出典:https://www.jrias.or.jp/iso_and_tope/sub4.html

硫黄の場合で考えると、3p軌道の1つの電子が励起して3d軌道に入ります。
これで3d軌道が使えるということになり、結合の可能性が広がるのですね。
(参考:YouTube:けみけみケミストリー「原子価殻の拡大」)

さて、励起状態(excited state)になるとエネルギー順位が高くなるということでしたが、エネルギー順位は低い方が安定するので、励起状態は不安定ということになります。
そのため長くは励起状態を維持できず、もとの状態(基底状態:ground state)に戻っていきます。
このときに励起状態と基底状態の差分のエネルギーが光として放出されます。
この差分のエネルギーの大小によって光の波長が変わり、様々な色として認識されます。

身近なところでは蛍光灯の発光、オーロラなどがこの現象で発光しているようです。
調べきれていませんが分析装置の話にも関わるようで、掘り下げるところが色々あるテーマですね。
(参考:九州大学附属図書館「オーロラの不思議」、Thermo Fisher SCIENTIFIC 「蛍光のプロセス」)

4/25(木)学習時間:6.25H
・岡野の化学(36)
・原子価殻の拡大、励起について
・チオールとスルフィドについて
課題)
・けん化についての英文資料を読む
・ジスルフィド結合接着剤の再生可能性についての論文を読んだので、その他の接着剤と関連してまとめる

その他
・視聴ビデオ:1071 迷走しないために、0603 EPWing
 →英文資料をたくさん読むのが課題だが手元に電子辞書しかないので、EPWingの無料辞書を利用しつつ、有料の辞書で必須と思われるものはGW中にそろえる。
 →自分のこれまでの人生の振り返り、やりたいことやりたくないこと、について書き出す。

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