サリチル酸の酸性について

以前の投稿で「フェノールとカルボン酸が酸性になる理由」を共役塩基の安定性から説明することができて喜んでいたのですが、岡野の化学(42)を見て詰めが甘かったと反省しました。

フェノールとカルボン酸の両方の性質をもつサリチル酸の場合はまた違った角度での議論が必要でした。
サリチル酸の電離は以下の2段階で進み、それぞれの段階で電離のしやすさが異なるのですね。

出典:https://chemieaula.blog.shinobi.jp/Category/8/2/

ここで考えないといけなかったのは分子内水素結合のことです。
サリチル酸はヒドロキシ基-OHとカルボキシ基-COOHが隣接するオルト位にあるため、分子内の水素結合が起こりやすいです。
そのため第一段階の電離が安定して進みますが、第二段階の反応は分子内水素結合の安定した状態を不安定化させるように進むので起こりにくいということです。

出典:https://chemieaula.blog.shinobi.jp/Category/8/2/

このため同じヒドロキシ安息香酸のメタ、パラと比べてみると、
・第一段階の電離はオルト位のサリチル酸が一番起こりやすい
・第二段階の電離はサリチル酸が一番起こりにくい
という結果になるのです。

フェノールとカルボン酸の酸性について考えたとき、サリチル酸のことは頭に浮かんできたのに、「両方の性質を持つから酸性度が強いのかな」と単純に考えてスルーしてしまっていました。

<反省点>
①自分の考えが正しいかどうかの裏どりをせずに進んでしまった
②異性体による分子内結合と分子間結合の違いについては以前フマル酸とマレイン酸の話で学習していたはずなのにサリチル酸の酸性度を考えるときに結び付けられなかった

特に①は実際に仕事をするようになったときには誤訳につながってしまいます。大反省です。

4/28(日)学習時間:7.75H
・岡野の化学(41)~(45)
・サリチル酸の電離について復習
・ラジカル重合反応の進み方について整理
課題)
・ラジカル重合反応の中にも種類があると知ったのでそれぞれの違いを調べてまとめる
 →まとめたら特許庁のデータベースで関連するものをいくつか読んでみる
・印刷した英文資料を読む

その他
・「この辞書を買え!」のビデオ視聴
 →「海野さんの辞書」と「小倉書店3点セット」を注文した

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うずら
〈レバレッジ特許翻訳講座16期生〉 翻訳とは無関係の会社員生活を送っていたが、30歳になったのを機に「これが最後の進路選択のチャンス」と考え直し、文系出身・翻訳未経験から特許翻訳者への険しい道を進むことを決意。