岡野の化学でナトリウムフェノキシドと二酸化炭素を反応させてサリチル酸を生成するコルベ・シュミット反応について学習しました。
下図の反応機構です。
この反応機構で金属原子のNaをOとOで挟んでいるような形がでてきます。
この構造は錯体を安定化するキレート効果をもつということでした。
「キレート」の語源は「蟹のハサミ」だそうですが、確かに似ていますね。
さて、キレート効果は錯体を安定化するということでしたが、それは言い換えると「錯体をつくることで金属イオンの活性を抑えることができる」ということになります。
金属イオンの活性が障害になる場合、キレート剤を使ってその活性を抑えるということが行われるのですね。
調べたところ以下の用途がありました。
①廃棄物焼却処理における有害金属の除去
②鉄過剰症(体内に鉄が過剰にたまり身体に障害を引き起こす)の治療薬
③せっけんの洗浄能力の低下防止
以下、もう少し詳しく見てみます。
①廃棄物焼却処理における有害金属の除去
廃棄物焼却処理において鉛、カドミウム、水銀などの有害金属がそのまま排出されないように、排ガスを液体キレート剤に通して錯体をつくり、溶出を抑制しています。
②鉄過剰症の治療薬
治療薬にデフェラシロクスなど鉄と錯体をつくるキレート剤を入れることで体内の過剰な鉄を錯体にして体外に排出させます。
③せっけんの洗浄能力の低下防止
せっけんは脂肪酸と水酸化ナトリウムの塩、または脂肪酸と水酸化カリウムとの塩で親水基部分が水になじみます。
しかし、Na+やK+の部分がCa2+やMg2+に代わると水に溶けない沈殿を生じてしまいます。そのため、Ca2+やMg2+を多く含む硬水中では洗浄効果が落ちてしまいます。
そこでキレート剤を使用することでCa2+やMg2+がせっけんと反応することを防いでいます。
我が家で使っているボディソープの成分を見たところ、EDTA-4Naというキレート剤が含まれていました。
特許庁のデータベースで「キレート 洗剤」で調べるとP&G社やエコラボ社の特許が多くヒットしましたが、やはり硬水の地域の方が研究開発が進んでいるのでしょうか。
参考)
https://metoree.com/categories/2401/
https://tenbou.nies.go.jp/science/institute/region/journal/JELA_3702023_2012.pdf
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00069655.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/69/4/69_158/_pdf
4/29(月)学習時間:10.25H
・岡野の化学(46)~(47)
・ラジカル重合の種類について
・キレート剤の用途について
課題)
・界面活性剤とキレート剤の化粧品における効果について調べる
・ラジカル反応には乳化重合や懸濁重合など種類があることとそれぞれのメカニズムは大体理解したが、何をつくるときにどの方法を使う、その理由は何か、という点が理解できていないので追加で調べる
・アミンに関する英語の資料を読む
その他
・今日は今までの自分のキャリアを書き出して棚卸をする
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