岡野の化学でSI基本単位について学習しました。
SI基本単位とは、国際単位系において基本と位置づけられる以下の7つの単位を指します。
長さ(m)、質量(kg)、時間(s)、電流(A)、熱力学温度(K)、物質量(mol)、光度(cd)
このほかの多くの単位はSI基本単位の組み合わせでできています。
今回はこの中の「時間」の定義について、調べたり考えたりしたことを書いてみます。
時間の定義の変遷
「時間」以外のSI基本単位についても言えることですが、その定義は時代とともに変わってきました。
1956年までは地球の自転に基づいて1日=86400秒として秒を定義、
1956年からは地球の公転に基づいて1年=31556925.9747秒とする定義、としていました。
しかし、どちらも気候変動の影響などを受けてわずかに早まったり遅くなったりするためにやや正確性に欠けました。
そこで1967年以降はセシウム133原子の固有の周波数から1秒を定義することになりました。
共鳴周波数
すべての原子は固有の共鳴周波数を持っており、原子内のある電子が一つのエネルギー準位から別のエネルギー準位に遷移する際に吸収または放出する電磁波の周波数を指します。
セシウム133の場合はこの周波数が9192631770であり、周波数というのは1秒あたりに波が振動する回数なので、セシウム周波数の9192631770倍の時間が1秒となります。
全ての原子に固有の共鳴周波数があるのになぜセシウムなのかということですが、セシウムは自然界に存在する同位体がセシウム133の一種類のみで非常に安定しているためです。
超微細構造
1967年以来のSI基本単位「秒」の定義は、セシウム133原子の基底状態における超微細構造準位間のマイクロ波領域の遷移周波数を 9192631770 Hzとする、とされています。
上で見てきたように電子の遷移の際の周波数から定義しているわけですが、超微細構造準位というのがよくわかりませんでしたので少し調べてみたところ、下図のように核の運動と電子の運動との作用による電子軌道のエネルギー準位の分裂を指しているようです。
なぜエネルギー準位が分裂するのかな、と思いながら上の図を見ていたところ、核と電子のそれぞれのスピンの向きを表す矢印の並びが、SI基本単位の電流(A)の定義で出てきた話に似ているなと思い出しました。
2つの平行な電流を考えるとき、電流が同じ向きに流れていれば引き合う力が、逆向きに流れていれば反発する力が働くのでした。
電子の場合は電流の向きとは逆向き、核の場合は正の電荷を持つので電流と同じ向きと考えて、上記の電流の話を応用できるのではないかと考えました。
そうすると、
核のスピンの向きと電子のスピンの向きが同じであれば反発する力が生じて不安定になる、つまりエネルギー準位の高い方へ分岐する、
逆に、核のスピンの向きと電子のスピンの向きが逆であれば引き合う力が生じて安定になる、つまりエネルギー準位の低い方へ分岐する、
ということでしょうか。
下のように作図してみました。
超微細構造と似た言葉で微細構造という言葉もありますが、微細構造は核スピンの影響は考慮せず電子の運動のみを考えた場合のエネルギー準位の分裂で、超微細構造は微細構造よりもさらに小さなエネルギー分裂のようです。
超微細構造の場合は核との関係が問題になりますが、同位体は核の構造が異なるため異なる同位体同士では核スピンにも変化が起きます。
このため、自然界に同位体が一種類しか存在しないセシウムが選ばれていると考えられます。
思いつく範囲で少し考えてみましたが、実際はもっと色々な条件を考えたり複雑な計算をして考える必要があると思います。
もう少し自分のレベルを上げて修正できるようにしたいと思います。
参考)
産業技術総合研究所 計量標準総合センター サイト記事
産総研サイエンスタウン サイト記事
7/2(火)学習時間:5H
・SI基本単位の重さ、温度について
・石英ガラスの製法について
課題)
・超臨界流体の用途、特許明細書を調べる
・石英ガラスの製法で-OH基が多く含まれる場合の特徴とその理由について
・SI基本単位の光度について
その他
・ASML社のEUV装置に関するYouTube動画を視聴
・4661 講座運営について
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