はんだの濡れ性について

前回はんだ付けにおけるフラックスの酸化膜除去効果について書きましたのでその続きです。
フラックスには酸化膜の除去の他に、はんだの濡れ性を高めるという効果もあります。

はんだ付けの際には、はんだの濡れ性が重要になります。
はんだの形状としては富士山型のフィレット形状を作るものが良いとされています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1985/8/2/8_2_21/_pdf

濡れ性は固体と液体の接触角の大きさを用いて議論されますが、母材と溶融状態のはんだとの接触角が15°~45°くらいが良いと言われています。

接触角が小さいほど溶融状態のはんだが固体表面に広がりやすくなり、これを濡れ性が高いと表現します。

良いはんだ(https://godhanda.co.jp/blog/kisokouza08/
いもはんだ(https://godhanda.co.jp/blog/kisokouza08/

接触角が大きすぎると「いもはんだ」とよばれる膨らんだ形になり、これはクラック(ひび割れ)やボイド(ガスを含んだことによってできる穴)と呼ばれる不良につながりやすくなります。

https://www.marubun.co.jp/wp-content/uploads/info/events/a7ijkd000000377k-att/a7ijkd000000378a.pdf

表面張力の大きさは、分子の結合の強さと関係があります。
液体について考えてみると、液体の内部の分子は周囲の多くの分子と互いに引き合い安定しています。しかし、表面の分子は外側に引き合う相手がいないため、内向きに引っ張られる力が大きくなり不安定な状態になります。そのため不安定な表面部分の面積がなるべく小さくなるように球状になります。これが表面張力のしくみです。
このとき内側に引っ張る力、つまり分子間の結合が強いほど表面張力も強くなるということになります。

はんだは比較的強い金属結合によって結びついていますが、フラックスがはんだを覆って界面活性剤として機能することで表面張力が抑えられ、濡れ性が向上すると考えられます。

表面張力については以前に界面活性剤の学習をしたときにも少し調べており、その時よりは理解が進んだという実感がありますが、物理の基本となる力についての理解がぼんやりしています。
表面張力は様々な分野で出てくる重要な概念だと思いますので、また勉強が進んだら整理し直します。

参考)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/47/9/47_KJ00003521008/_pdf
https://www.fia-sims.com/p40-interface-science.html

6/19(水)学習時間:7H
・岡野の化学(129)
・表面張力について
課題)
・今読んでいる特許明細書の未知語の調査続き
・はんだについてよくまとまった資料を追加で見つけたので読む

その他
・4660 能力開発の4ステップ
・「特許明細書のチェック法」読了
・自分のキャリアと特許翻訳のつながりについて考え直し

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うずら
〈レバレッジ特許翻訳講座16期生〉 翻訳とは無関係の会社員生活を送っていたが、30歳になったのを機に「これが最後の進路選択のチャンス」と考え直し、文系出身・翻訳未経験から特許翻訳者への険しい道を進むことを決意。