昨日は真空蒸着の装置について少し調べました。
膜形成方法のひとつである蒸着という方法は、成膜材料となる物質を加熱して気化したうえで、基材に吸着させることで膜を形成します。
わかりやすく説明してくれている企業サイトがあったので紹介すると、水を入れて沸騰させた鍋の上にフタをするとフタに水滴がつくような具合です。
その際に、成膜材料を入れる「るつぼ」が使われるのですが、その素材の特徴について少し調べました。
蒸着で使用されるるつぼの材料は黒鉛とアルミナが多いようで、それぞれの特性をAIに聞いてみました。
AI:黒鉛るつぼの特徴と用途:
高い熱伝導性と電気伝導性を持つ
比較的安価で加工が容易
炭素と反応しやすい材料(例:Ti、Al、Si)の蒸着に適さない
主に金属材料(例:Au、Ag、Cu)の蒸着に使用
アルミナるつぼの特徴と用途:
化学的安定性と耐食性が高い
高温での強度が高く、耐熱衝撃性に優れる
電気絶縁性が高い
炭素と反応しやすい材料(例:Ti、Al、Si)の蒸着に適している
高融点材料(例:Mo、W、Ta)の蒸着に使用
電子デバイスの電極形成にはアルミナるつぼが、光学コーティングや装飾品の製造には黒鉛るつぼが使用されることが多いです。
黒鉛とアルミナに共通する特徴としては耐熱性があります。
蒸着では成膜材料を気体にするため高温で加熱する必要があります。
その点、アルミナの融点は2,000℃程度、黒鉛の融点は3,000℃以上と、どちらも高温に耐性があります。
違う点としては、炭素はTi,Al,Siと反応して炭化物を生成してしまうため、Ti,Al,Siを成膜材料とする場合には使うことができません。
Ti,Al,Siは電子デバイスの電極形成によく使われるため、その場合の蒸着プロセスではアルミナるつぼが適しているということになります。
また電気伝導性にも違いがあります。
黒鉛は炭素の同素体のところで見たように、炭素の共有結合でできたグラフェンと呼ばれる薄い層が積み重なったような構造になっています。
それぞれの層の間にはπ電子雲が広がっており、そこを自由に移動できる電子の存在によって黒鉛には電気が流れるようです。
一方、アルミナはイオン結合によって結晶をつくっているため、電子は結合に使われてしまって自由に動ける電子を持っておらず、電流が流れません。
真空蒸着では成膜材料を加熱する必要がありますが、加熱の方法には抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱などがあります。
ではどのプロセスでもアルミナるつぼと黒鉛るつぼの両方が使えるのかというと、そういうわけではないようです。
またAIに聞いてみました。
AI:抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱では、それぞれ適したるつぼ材質が異なります。
抵抗加熱:
抵抗加熱では、るつぼ自体に電流を流して発熱させるため、るつぼ材質は導電性が必要です。したがって、抵抗加熱には黒鉛るつぼが適しています。アルミナは電気絶縁性が高いため、抵抗加熱には適していません。
高周波誘導加熱:
高周波誘導加熱では、高周波コイルによって発生した磁場により、るつぼ自体に誘導電流が流れ、発熱します。このため、るつぼ材質は導電性と高周波磁場に対する透磁率が重要です。黒鉛るつぼは導電性が高く、高周波誘導加熱に適しています。アルミナは誘導電流が流れないため、高周波誘導加熱には適していません。
電子ビーム加熱:
電子ビーム加熱では、高エネルギーの電子ビームを蒸着材料に直接照射して加熱します。このため、るつぼ材質は、電子ビームに耐えられる耐熱性と、蒸着材料との反応性の低さが重要です。アルミナるつぼは耐熱性が高く、化学的安定性も高いため、電子ビーム加熱に適しています。黒鉛るつぼも電子ビーム加熱に使用できますが、蒸着材料との反応性を考慮する必要があります。
以上のように、抵抗加熱と高周波誘導加熱には黒鉛るつぼが適しており、電子ビーム加熱にはアルミナるつぼが適しています。ただし、電子ビーム加熱では、蒸着材料との反応性を考慮して、黒鉛るつぼとアルミナるつぼを使い分ける必要があります
高周波誘導加熱はるつぼ自体に電流が流れる必要があるため、絶縁体のアルミナるつぼは適さず、黒鉛るつぼが使われるということになるのですね。
ただ調べてみたところ、抵抗加熱に関してはタングステンやモリブデンなどの素材で作られたボートというくぼみのある抵抗体に成膜材料を乗せて電流を流し、電気抵抗により発生する熱で成膜材料を加熱するという方法が一般的なようです。
では高周波誘導加熱と電子ビーム加熱にはタングステンやモリブデンは使われないのか?と疑問に思ったので、これもまた追加で調べます。
アルミナが安定な構造を持つ理由、タングステンなどが電気抵抗をもつ理由など、素材そのものの構造や性質については追加で調べます。
蒸着用のるつぼの製法についてもいくつか特許があったので読んでみます。
5/22(水)6.75H
・岡野の化学(85)~(86)
・真空蒸着とるつぼについて
・真空蒸着装置を使う様子について動画視聴
課題)
・蒸着に使われるるつぼに関する特許を少し読んでみる
・蒸着の加熱方法について追加で調べる
・アルミナの構造について調べる
その他
・4547 AIを活用して自分専用テキストを作成する
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