しばらくCMP関係の特許を読んでいましたが、先日からリソグラフィ関連の特許を読み始めました。
今回は、ペリクル接着剤残留物の除去方法に関する特許明細書の一部を取り上げて訳文を考えてみたいと思います。
目次
検討箇所
【原文】
During photolithography, a photomask is used to transfer a pattern to a photoresist disposed on a substrate.
Particles that enter a focal plane of the photomask may damage the mask.
The particles may also be imaged and transferred as part of the pattern which results in a defocused or suboptimal exposure of the photomask.
A pellicle is often disposed on the photomask to prevent particles from damaging and contaminating the photomask.
【公開訳】
フォトリソグラフィ中に、フォトマスクを使用して、基板上に配置されたフォトレジストにパターンを転写する。
フォトマスクの焦点面に入る粒子は、マスクを損傷する可能性がある。
粒子は、パターンの一部として画像化および転写されることもあり、これはフォトマスクのデフォーカスされた、または次善最適化された露光をもたらす。
粒子がフォトマスクを損傷し、汚染するのを防ぐために、多くの場合ペリクルがフォトマスク上に配置されている。
【試訳】(自分の訳)
フォトリソグラフィにおいて、フォトマスクは、基板上に配置された(※1)フォトレジストにパターンを転写するために用いられる。
フォトマスクの焦点面(※2)に入った粒子は、マスクを損傷する場合がある。粒子はまた、パターンの一部として投影および転写され、結果としてフォトマスクの露光の焦点がぼけるか、最適な状態にならない場合がある。
多くの場合、ペリクルは、粒子によるフォトマスクの損傷および汚染を防ぐためにフォトマスク上に配置される。
コメント:
※1 原文の “disposed on” に合わせましたが、”applied to” または “coated on” の意味であれば「塗布する」が適切かと思われます。ご確認ください。
※2 原文の “a focal plane of the photomask” に合わせましたが、「フォトマスクのパターン面」の意かと思いますのでご確認ください。
背景知識
訳を検討する前に、ペリクルの役割と接着剤残留物の問題点について確認しておきます。
ペリクルの役割
原版となるマスクに描画されたパターンを露光装置を介して基板上のレジストに転写する技術をフォトリソグラフィといいます。
原理としては、版画の転写技術とフィルム写真の現像技術を組み合わせたようなものなので、石版画を意味する「リソグラフィ」と写真を意味する「フォト」を組み合わせて「フォトリソグラフィ」と呼ばれています。
単にリソグラフィと呼ばれることが多いです。
リソグラフィにおいて、パターン形成時にマスクにゴミやホコリがつくと、そのゴミやホコリがそのままパターンとしてレジスト上に転写されてしまうなど、欠陥につながります。
そのため、露光装置はクリーンルームと呼ばれる、空気中の微粒子を排除した清浄な部屋の中の、さらに温度管理されたチャンバの中に設置されています。
しかし、クリーンルーム内でもゴミやホコリを完全に防ぐことはできないため、ペリクルと呼ばれる透明な薄い防塵フィルムがマスクに取り付けられます。
ペリクルは一般に、ペリクルフレームと呼ばれるアルミニウム合金などでできた枠に、ニトロセルロースやフッ素系ポリマーなど露光光をよく透過する膜を接着して作られます。
ただし、最新のEUVは13.5nmと非常に短波長で上記素材をほとんど透過できないため、シリコーンやカーボンナノチューブを用いた新たな材料が研究開発されています。
ペリクルは下図のようにマスクに接着し、マスクのパターン面を覆うようにして使います。実際に使用する際はマスク側から光を当てます。
ペリクルを使用すると、ゴミやホコリはマスク表面に直接付着せずに、ペリクルの表面に付着します。
ペリクル膜はペリクルフレームの厚みの分だけ数mm程度マスクのパターン面から離れているので、焦点をマスクのパターン上に合わせておけば、ペリクル膜についたゴミは転写されずに済むというわけです。
ペリクルの接着剤に関する課題
今回の特許は「ペリクル接着剤残留物の除去」に関するものです。
ペリクル接着剤にはどのような課題があるのでしょうか。
ペリクルの使用時間が経過するにつれ、ペリクルの膜上にゴミやホコリ、反応生成物が堆積したり、一定以上の大きさの異物が付着したり、膜が破れたり、といったことが起こります。
その際、ペリクルはマスクから取り外されて新しいものに交換されます。
ペリクル自体は剥がした後に廃棄されますが、マスクの方は洗浄して再度使用されます。
その際に接着剤の残留物が問題になります。
上で書いた通り、ペリクルは接着剤などによってマスクに接着して使用されます。
ペリクルの接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤などが用いられますが、接着剤が高エネルギーの紫外線にさらされることでアウトガスの発生が問題となる場合があります。
アウトガスとは、製品に使用されるプラスチック部品や接着剤などの有機材料に熱などのストレスを与えた際に放出されるガスのことです。露光中にアウトガスが放出されると、レンズや反射ミラーなどに付着して曇りが生じ、悪影響が出てしまいます。
アクリル系接着剤は透明度が高く一般的なリソグラフィではよく使われますが、EUVのような高エネルギーの光源を利用した場合では、材料の劣化やアウトガスの発生が生じやすくなります。
シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤はアクリル系接着剤に比べ耐熱性に優れておりEUV環境でも強い接着力を維持することができますが、強力な接着力のためにかえってペリクルを剥がした際に接着剤がマスク上に残りやすいという問題があります。
マスク上に接着剤が残るとパターン形成の精度に悪影響が出たり、新しいペリクルが十分に接着できなくなったりするため、接着剤の残留物は完全に除去する必要があります。
接着剤の除去方法としては溶剤を使う方法があり、例えばシリコーン接着剤はフッ化水素で溶解させられますが、マスク基板に使用されている石英ガラスもフッ化水素で溶解するために、マスクパターンを損傷してしまう恐れがあります。
このように、溶剤を使った接着剤除去は場合によってはマスクを損傷することもありますし、さらに接着剤の除去とマスクの洗浄に時間がかかるとその分ダウンタイムが生じて生産性が落ちてしまいます。
こうした状況から、マスクを損傷することなく、接着剤を効率よくきれいに除去する方法を開発することが課題となります。
今回取り上げた特許では、レーザービームで接着剤を除去するレーザークリーニングを解決策としています。
では、ある程度背景知識を押さえたところで、以下に今回取り上げた箇所の訳を考えてみたいと思います。
訳文の検討
a photoresist disposed on a substrate の訳
まず、a photoresist disposed on a substrate の部分についてです。
disposeは「~を配置する」「~を割り当てる」などの意味がありますが、レジストを基板上に「配置する」という訳はどうなのでしょうか。
「配置する」というと、すでに固まったプレート状のレジストを基板の上に置いているようなイメージを持ってしまいそうですが、実際のレジスト膜の製造工程は、まず液体状のレジスト液をスピンコーターという高速回転する装置を使って遠心力でウエハ上に均一に塗り広げ、その後、熱を加えて溶媒を揮発させ、レジストを固化させるというものです。
レジスト塗布の様子はYouTubeにも色々動画が出ています。
このような工程を考えると「配置する」という訳はあまり相応しくないようです。
リソグラフィ関連の資料を色々読むと、レジストに関しては「塗布する」という表現が一番よく使われています。
念のために、“基板上に*されたレジスト” というキーワードでGoogle検索してみたところ、ヒットしたのはほとんどが「塗布された」と「形成された」でした。
では「塗布された」と「形成された」のどちらがよいかということですが、
「形成された」の場合は、露光してすでにパターンが転写されたレジストを指して使われる例が多いようです。
今回取り上げた部分は、
transfer a pattern to a photoresist disposed on a substrate
となっており、
a photoresist disposed on a substrate は、まだパターンが形成される前のレジストを指していると思われますので、やはり「塗布された」が適切だと思います。
ここで問題となるのは原文ではdisposeを使っているということで、disposeの訳ということを考えると「塗布する」は遠いような気がします。
そこで前回の投稿で“contain”の訳について書いたときに、「ネイティブの英語にもミスがある」というアドバイスをいただいたのを思い出しました。
そこで少し原文の方を疑って、”resist disposed on the substrate” をGoogle検索してみたところ、10件しかヒットしませんでした。
AIも使って調べてみましたが、レジスト塗布に関してdisposeという単語を使うのは一般的ではないようです。
よく使われるのは、”applied to a substrate” や、” coated on a substrate” のようです。
というわけで、この部分の訳はひとまず原文通り「配置された」と訳しておいて、
「原文の “disposed on” に合わせましたが、”applied to” または “coated on” の意味であれば「塗布する」が適切かと思われます。ご確認ください。」
などとコメントをつけるのが良いのではないか、と考えました。
a focal plane of the photomaskの訳
Particles that enter a focal plane of the photomask may damage the mask.
の部分について、最初は何気なく、
「フォトマスクの焦点面に入った粒子は、マスクを損傷する場合がある。」
と訳したのですが、自分の作った訳を見て「あれ?」と思いました。
「焦点面」とは、「光軸に垂直で焦点を通る平面」のことです。
では、今回の文脈で「焦点面」になる場所はどこかというと、マスクのパターン面またはウエハのレジスト表面の2か所が考えられると思います。
原文では、
Particles that enter a focal plane of the photomask may damage the mask.
と書かれており、
この後の文ではalsoが使われて光学的ダメージについて述べられているので、ここでのdamageはマスクに物理的に傷をつけるようなことを意味しているのではないかと推測します。
その場合、「焦点面」はマスクのパターン面を指していると考えられますが、マスクの表面を指す場合に「マスクの焦点面」という言い方は一般的ではないと思います。
「~の焦点面」といった場合、「~」の部分に入るのは通常「レンズ」や「光学装置」など、光を集める役割をするものになると思われます。
英語でもa focal plane ofのフレーズで検索して該当するのは、a focal plane of an optical system や a focal plane of a light imaging deviceなどでした。
ただ、今回取り上げた部分で「露光装置の焦点面」としてしまうと、レジスト上の焦点とややこしくなってしまいます。
そこで、ひとまず原文に合わせて「フォトマスクの焦点面」と訳したうえで、
「原文の “a focal plane of the photomask” に合わせましたが、「フォトマスクのパターン面」の意かと思いますのでご確認ください。」
のようなコメントをつけるのがよいのではないかと考えました。
imageの訳
The particles may also be imaged and transferred as part of the pattern which results in a defocused or suboptimal exposure of the photomask.
のimageをどのように訳すかを考えてみます。
imageはここでは他動詞として使われており、画像化する、映像化する、投影する、など色々な訳が考えられます。
私の訳は「投影される」としましたが、公開訳は「画像化される」、AIにも訳させてみたところ、「イメージングされる」、「結像される」、などの訳が候補にあがりました。
それぞれの訳をAIに評価させてみました。
自分:
Particles that enter a focal plane of the photomask may damage the mask.
The particles may also be imaged and transferred as part of the pattern which results in a defocused or suboptimal exposure of the photomask.
上の文章はリソグラフィ関連の特許明細書の一部です。
ここでのimageの訳として、「投影される」「画像化される」「イメージングされる」「結像される」、それぞれについて理由をあげながら、どれが最も適切か答えてください。
AI(ChatGPT o1-preview):
上記の文章はリソグラフィのプロセスにおいて、フォトマスクの焦点面に入った微粒子がマスクを損傷する可能性があり、さらにその微粒子がパターンの一部としてイメージングされ、結果として焦点がずれた、または最適でない露光を引き起こすという内容です。
ここで「imaged」の適切な訳語を検討します。
投影される(とうえいされる):
理由:投影とは、マスク上のパターンをウエハー上に光学的に「写し取る」ことを指します。しかし、「投影される」は主に光源からウエハーへの全体的なパターン転写を指し、個々の微粒子がパターンとして転写されるニュアンスを直接的には含みません。
適切性:やや適切だが、微粒子自体が像として形成されるという意味を完全には表していない。
画像化される(がぞうかされる):
理由:画像化は、データや情報を視覚的な画像として表現する際に使われることが多い用語です。リソグラフィの文脈ではあまり一般的ではありません。
適切性:適切ではない。
イメージングされる:
理由:カタカナの「イメージング」は専門用語として使われることがありますが、日本語としての定着度や専門性の観点から見ると、他の用語よりも分かりにくい可能性があります。
適切性:専門的すぎる可能性があり、適切性は中程度。
結像される(けつぞうされる):
理由:結像は光学系において、物体からの光が集まって像を結ぶことを指します。リソグラフィでは、マスク上のパターンや異物がウエハー上に像として形成される現象を正確に表現します。
適切性:最も適切。
結論:
「結像される」が最も適切な訳語です。理由は以下のとおりです。
専門用語としての正確性:結像は光学およびリソグラフィの分野で一般的に使用される用語であり、光学系によって像が形成されるプロセスを正確に表現します。
文脈への適合性:微粒子がパターンの一部としてウエハー上に像を結ぶことで、不適切な露光が生じるという文脈に適しています。
AIの言うように「画像化」はリソグラフィの文脈では使わないと思いますし、「イメージング」も同様に医療分野の画像診断などの文脈で使う言葉だと思うので、とりあえずこの2つは候補から外せそうです。
私は最初に「投影する」を考えたのですが、AIは「結像する」の方がよいと答えました。そこでこの2つに候補を絞ってもう少し考えてみました。
自分:
投影、結像、転写の違いがよく分かりません。いずれもあるパターンを別の面にうつすという意味で使われるように思われるのですが、どのような使いわけがされているのでしょうか?
AI:
「投影(とうえい)」、「結像(けつぞう)」、「転写(てんしゃ)」は、いずれもリソグラフィ(露光技術)においてパターンを別の面に移す際に使われる用語ですが、それぞれが指す意味や使われ方には明確な違いがあります。以下に、それぞれの用語の意味と使い分けについて詳しく説明します。
1. 投影(とうえい)
意味:
投影とは、光学系を用いて物体の像を別の面に写し出すことを指します。これは、光源からの光がマスクを通過し、レンズなどの光学系によってウエハー上にパターンを投射するプロセスです。
リソグラフィにおける使い方:
投影露光装置(ステッパー)では、フォトマスク上のパターンをウエハー上に投影します。この際、マスクとウエハーの間には光学系が存在し、パターンが縮小されてウエハー上に転写されます。
特徴:
投影は、像を別の面に写し出すプロセス全体を指します。光学系を通じてパターンを伝達する過程に焦点を当てています。
2. 結像(けつぞう)
意味:
結像とは、光学系によって物体の像が焦点面に形成されること、つまり光が集まって像を結ぶことを指します。
リソグラフィにおける使い方:
フォトマスク上のパターンや微粒子が光学系を通じてウエハー上に結像されることを表します。特に、像の鮮明さや解像度、焦点合わせなど、光学的な性能や品質に関する文脈で使われます。
特徴:
結像は、光学系内での光の挙動や、像がどのように形成されるかという光学現象に焦点を当てています。
3. 転写(てんしゃ)
意味:
転写とは、ある媒体から別の媒体へパターンや情報を移し取ることを指します。物理的・化学的なプロセスを含む、パターンのコピー全体を表します。
リソグラフィにおける使い方:
フォトマスク上のパターンがウエハー上のレジストに転写されるプロセス全体を指します。これは、露光だけでなく、その後の現像やエッチングなどのプロセスも含みます。
特徴:
転写は、パターンを媒体間で移動させるプロセス全体に焦点を当てており、物理的・化学的な処理も含みます。
使い分けのまとめ
投影:
焦点:像を別の面に写し出すプロセス全体。
文脈:光学系を通じてパターンをウエハー上に伝達する際に使われます。
例:投影露光、投影倍率。
結像:
焦点:光学系によって像が形成される現象。
文脈:像の鮮明さ、解像度、焦点調整など、光学性能に関する話題で使われます。
例:結像性能、結像原理。
転写:
焦点:パターンや情報を別の媒体に移し取るプロセス全体。
文脈:露光から現像、エッチングまでの一連のプロセスを含む際に使われます。
例:パターン転写、転写精度。
具体的な例
投影:
「この新型ステッパーは高解像度でパターンをウエハー上に投影できる。」
結像:
「光学系の改良により、微細なパターンの結像が可能になった。」
転写:
「高感度レジストを使用することで、パターンの高精度な転写が実現した。」
まとめ
これらの用語は、リソグラフィプロセスの異なる側面に焦点を当てています。
投影は、光学系を通じてパターンをウエハー上に伝達する過程を広く指します。
結像は、光学系内での像の形成そのものに焦点を当て、光学性能や像の品質に関する話題で使われます。
転写は、パターンが最終的にウエハー上にコピーされるプロセス全体を指し、露光後の現像やエッチングなども含みます。
これらの違いを理解することで、技術文書や特許明細書をより正確に解釈し、適切な用語を選択することができます。
自分:
上記の説明だと、確かに「結像」という訳は粒子の像がレジスト上につくられるという点をうまく表現しているような気はするのですが、
「which results in a defocused or suboptimal exposure of the photomask(結果としてフォトマスクの露光の焦点がぼけるか、最適な状態にならない)」
という部分とのつながりを考えると、
すでに粒子が「結像」しているのに、その結果として焦点がぼやける、というのは変な感じがしてしまいました。
そこで今回の場合はパターンを伝達するというプロセス全体に焦点をあてた「投影」の方がよいのではないかと思うのですが、どうでしょうか?
AI:
ご指摘ありがとうございます。確かに、以前の説明では「結像される」が適切だと述べましたが、あなたのご意見を踏まえて再検討しました。
再検討
文脈の再確認:
原文:
“The particles may also be imaged and transferred as part of the pattern which results in a defocused or suboptimal exposure of the photomask.”
日本語訳:
「これらの微粒子はパターンの一部としてimagedおよび転写され、その結果、フォトマスクの露光が焦点ぼけや最適でない状態になることがあります。」
あなたの指摘:
微粒子が「結像される」のであれば、その結果として焦点がぼやけるというのは不自然に感じる。
「投影される」の方が、パターンを伝達するプロセス全体に焦点を当てており、文脈に適しているのではないか。
用語の再評価
1. 投影される
理由:
投影は光学系を通じてパターンをウエハー上に写し出すプロセス全体を指します。
微粒子がパターンの一部として光学系を通じてウエハー上に投影されることで、露光品質に影響を与えるという文脈に適しています。
適切性:
あなたの指摘のとおり、「投影される」はプロセス全体を表現し、微粒子の影響が露光結果に及ぶことを自然に示しています。
2. 結像される
理由:
結像は光学系によって像が形成されることを指し、微粒子が像としてウエハー上に現れることを強調します。
適切性:
しかし、すでに「結像される」のであれば、その結果として「焦点がぼやける」という表現には違和感があります。
3. 転写される
理由:
転写はパターンがレジストに物理的・化学的にコピーされるプロセス全体を指します。
適切性:
原文では「imaged and transferred」となっており、「転写される」はすでに「transferred」の訳語として使われています。
4. その他の候補
映し出される:
理由:光学的に像が表示されることを指し、微粒子がパターンの一部として現れることを表現できます。
適切性:文脈に合致しますが、「投影される」と同様の意味合いです。
結論
**「投影される」**がこの文脈での「imaged」の訳語として最も適切であると考えられます。
理由:
文脈への適合性:微粒子がパターンの一部として光学系を通じてウエハー上に投影されることで、露光の焦点ぼけや最適でない状態を引き起こすという流れを自然に表現できます。
プロセス全体の表現:微粒子がパターン転写プロセス全体に影響を与えることを強調できます。
以上のやりとりから、be imaged and transferredの部分は「投影および転写され」と訳すのがよいのではないかと考えました。
対訳学習を始めてから何回か記事を書きましたが、自分の持った違和感を公開訳の誤訳や原文のミスとして指摘するのはとても緊張しますし、自分の指摘が客観的に正しいのかというのは常に不安で、何度も何度も確認して時間がかかってしまいますし、それでもまだあまり自信が持てない状態です。
自分の訳や指摘が正しい、という自信を持てるだけの勉強量にまだまだ達していないのだと思います。引き続き頑張ります。
10/9(水)~10/19(土) 学習時間計:67.5H
・橋元の物理(75)~(79)
・レンズの仕組み、レジスト材料の変遷、ペリクル関係の特許の課題、CCDセンサについて調べて整理
・ペリクル接着剤残留物の除去方法に関する特許の対訳学習(1文ずつ計測しながら自分で訳す⇒公開訳と比較⇒再検討)⇒全体の1/2くらいまで
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