岡野の化学でDNA配列や遺伝子変異について学習したので、プリン塩基とピリミジン塩基、それらの変異について少し追加で調べたところをまとめます。
プリン塩基とピリミジン塩基
DNAを構成するアデニン、グアニン、シトシン、チミン(RNAの場合はウラシル)はピリミジン塩基とプリン塩基に分けられます。
プリンという化合物とピリミジンという化合物があり、プリン塩基とピリミジン塩基はそれぞれの誘導体です。
五員環と六員環がくっついた形になっているアデニンとグアニンがプリン塩基、
六員環だけで構成されているチミンとシトシンがピリミジン塩基です。
DNAの塩基対ができるときには、アデニン-チミン、グアニン-シトシンのペア、つまりプリン塩基とピリミジン塩基のペアになっています。
プリン塩基とピリミジン塩基はそれぞれ代謝の経路が違っていて、ピリミジン塩基は水と二酸化炭素とアンモニアに分解されますが、プリン塩基は最終的に尿酸までしか分解されません。プリン塩基は食品からも多く摂取されますが、この尿酸の血液中に含まれる量を表す尿酸値が7.0mg/dLを超えてしまうと高尿酸血症とされ、痛風の発症リスクが高まります。
遺伝子変異
遺伝子は紫外線などの影響やDNA複製時のミスといった自然的要因や化学物質の影響で遺伝子を構成するDNAの塩基配列が変化する変異という現象が起こります。
以下に遺伝子変異の大枠のマインドマップを作りました。
遺伝子変異には主に、置換変異、挿入変異、欠失変異があります。
置換変異:塩基が入れかわることによる変異
挿入変異:配列の中に余分な塩基が加わることによる変異
欠失変異:ある塩基が配列から抜け落ちることによる変異
この中の置換変異についてもう少し見ていきます。
置換変異
置換変異はプリン塩基とピリミジン塩基のどちらが置換するかによって、トランジションとトランスバージョンの2種類に分類されます。
トランジション:
プリン塩基同士の置換またはピリミジン塩基同士の置換
つまり、AとG、CとTの間の置換
トランスバージョン:
プリン塩基とピリミジン塩基の間で起きる置換
つまり、AとC、AとT、GとC、GとTの間の置換
一般的に、同じ塩基の種類であるトランジションの方が修復機構によって発見されにくいため、トランジションの方が起こりやすい変異といえますが、変異が発生した場合は異なる塩基間の置換であるトランスバージョンの方が影響が大きいようです。
また置換変異はタンパク質の機能への影響によってサイレント変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異の3種類に分けられます。
サイレント変異:DNA配列には変化があるが、出来上がるアミノ酸に変化はない
ミスセンス変異:DNA配列が変化することによって、別のアミノ酸ができてしまう
ナンセンス変異:アミノ酸のコードが終止コドンに変化することでタンパク質の合成が止まってしまう
そして、サイレント変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異のそれぞれにトランジションによるものとトランスバージョンによるものがあります。
それぞれの具体例を以下に挙げます。
サイレント変異:
トランジション変異:GAA (グルタミン酸) → GAG (グルタミン酸)
トランスバージョン変異:GTC (バリン) → GTG (バリン)
ミスセンス変異:
トランジション変異: GAA (グルタミン酸) → AAA (リシン)
トランスバージョン変異:GAA (グルタミン酸) → CAA (グルタミン)
ナンセンス変異:
トランジション変異: TGG (トリプトファン) → TGA (終止コドン)
トランスバージョン変異: TAC (チロシン) → TAG (終止コドン)
アミノ酸を決める3文字コードのコドンとアミノ酸との対応は1対1ではなく、複数のコドンが対応していて冗長性があるということを岡野の化学のビデオで学習しました。
このように複数のコドンが対応していることで、一部の塩基が変わってしまったとしても、サイレント変異のようにタンパク質の合成に影響が出ずに済む場合があるのですね。
ちなみに、サイレント変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異のそれぞれのトランジションとトランスバージョンの具体例はAIに聞いてみたのですが・・・、
ChatGPT-o4:
サイレント変異(Silent Mutation)
サイレント変異は、DNAの塩基が変わっても同じアミノ酸がコードされる変異です。
トランジション(Transition)
例:GAA(グルタミン酸)→ GAG(グルタミン酸)
ここで、AがGに変わるトランジションが起こっていますが、同じアミノ酸(グルタミン酸)がコードされるため、サイレント変異となります。
トランスバージョン(Transversion)
例:CTC(ロイシン)→ CTT(ロイシン)
ここで、CがTに変わるトランスバージョンが起こっていますが、同じアミノ酸(ロイシン)がコードされるため、サイレント変異となります。
ミスセンス変異(Missense Mutation)
ミスセンス変異は、DNAの塩基が変わり、異なるアミノ酸がコードされる変異です。
トランジション(Transition)
例:GAA(グルタミン酸)→ GGA(グリシン)
ここで、AがGに変わるトランジションが起こり、結果として異なるアミノ酸(グリシン)がコードされるため、ミスセンス変異となります。
トランスバージョン(Transversion)
例:GAA(グルタミン酸)→ TAA(ストップコドン)
ここで、GがTに変わるトランスバージョンが起こり、結果として異なるアミノ酸(ストップコドン)がコードされるため、ナンセンス変異となります。
ナンセンス変異(Nonsense Mutation)
ナンセンス変異は、DNAの塩基が変わり、ストップコドンが生成される変異です。
トランジション(Transition)
例:TGG(トリプトファン)→ TGA(ストップコドン)
ここで、GがAに変わるトランジションが起こり、結果としてストップコドン(TGA)が生成されるため、ナンセンス変異となります。
トランスバージョン(Transversion)
例:GAG(グルタミン酸)→ TAG(ストップコドン)
ここで、GがTに変わるトランスバージョンが起こり、結果としてストップコドン(TAG)が生成されるため、ナンセンス変異となります。
以上のように、サイレント変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異のそれぞれについて、トランジションとトランスバージョンの具体例を挙げました。
自分:CTC(ロイシン)→ CTT(ロイシン)はトランジションですよね?それから、GAA(グルタミン酸)→ TAA(ストップコドン)はナンセンス変異ではないですか?
ChatGPT-o4:おっしゃる通りです。CTC(ロイシン)→ CTT(ロイシン)は、シトシン(C)がチミン(T)に変わるトランジションです。またGAA(グルタミン酸)→ TAA(ストップコドン)はナンセンス変異の例であり、ミスセンス変異の例ではありません。私の誤りを訂正し、再度サイレント変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異のそれぞれにトランジションとトランスバージョンの具体例を挙げます。・・・
Claude 3 Opus:
以下に、サイレント変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異のそれぞれについて、トランジションとトランスバージョンの例を示します。
サイレント変異:
トランジション – CTC (ロイシン) → CTT (ロイシン)
トランスバージョン – GTC (バリン) → GTG (バリン)
ミスセンス変異:
トランジション – GAT (アスパラギン酸) → GGT (グリシン)
トランスバージョン – GAA (グルタミン酸) → GTA (バリン)
ナンセンス変異:
トランジション – CAA (グルタミン) → TAA (終止コドン)
トランスバージョン – TGG (トリプトファン) → TGA (終止コドン)
これらの例では、DNA配列の変化が直接コドンに反映され、それによってタンパク質のアミノ酸配列が変化します。サイレント変異ではアミノ酸の変化は起こりませんが、ミスセンス変異では別のアミノ酸に置き換わり、ナンセンス変異では終止コドンが生じてタンパク質の合成が途中で停止します。トランジションは同じタイプの塩基(ピリミジンとピリミジン、プリンとプリン)間の変化であり、トランスバージョンは異なるタイプの塩基間の変化です。
自分:TGG (トリプトファン) → TGA (終止コドン)はトランジションですよね?
Claude 3 Opus:ご指摘ありがとうございます。私の誤りです。TGG (トリプトファン) → TGA (終止コドン)はトランジションの例ですね。以下に修正版を示します。・・・
AIはとても高性能なのでつい信用してしまいますが、自分で考えたり確認したりしないで鵜呑みにしてしまうとダメですね。
自分で調べるべきところは手を抜かずに調べて、そのうえでAIを使うようにします。
AIの使いどころも日々研究していきます。
参考)
https://faculty.seitoku.ac.jp/human-nutrition/2018/11/22/lab-73/
https://www.skk-net.com/health/illness/01/index02.html
https://kusuri-jouhou.com/creature2/heni.html
5/18(土)学習時間:12.25H
・岡野の化学(78)~(79)
・遺伝子変異についてマインドマップ作成
・プリン塩基とピリミジン塩基と変異についてまとめ
・RNAポリメラーゼについて
課題)
・DNAからmRNAに転写する際に直接書き移すのではなく、RNAポリメラーゼが間に入るということは分かったが、RNAポリメラーゼが転写を開始するまでにプロモーターや転写因子の存在など様々な条件があると知り、調べきれなかったので、化学・物理が終わって生物をしっかりやるときが来た際の課題として知子の情報に登録。
・今まで調べたことのノート構成と吸着についての調査を進めるつもりだったが、遺伝子関係の調べもので終わってしまったので今日はきちんと時間をとって進める。
その他
・3830 ノート作成の技法と視点
・4082 質問力とノート作成
・ライフプランについて少しAIと対話
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